『問題解決型』ハードウェアメーカー
ファナティック

精密加工プレスの技術で自動車産業の発展に貢献

70年以上にわたり培ってきた精密加工プレスの技術で、自動車産業の一翼を担うサトープレス工業様。自動車の走行や安全性に関わる重要部品を中心に製造する同社の特長は、高精度な金型の設計・制作からプレス量産加工までの一貫生産体制にある。

自動車産業が大きな転換期にあるなか、グローバルで「競争力のあるものづくり」を縁の下で支え続けるメーカーとして進化、発展を続けており、高品質な製品の安定供給のためにさらなる品質向上や原価低減を追求している。

主要取引先である自動車部品メーカーなどに納入する製品の量産では、取引先からの受注にもとづき生産が行われる。この受注・生産を経て出荷に至るまでのプロセスを一元的に管理し、受注製品の安定供給に欠かせないのが同社の生産管理システムだ。

生産管理システムは初期に導入したオフコンから、現在のWindowsベースに切り替えたのが2016年。自社の業務にあわせてスクラッチで開発された同システムは、新たな業務要件に対する改修を行いながら現在も生産業務を支えている。

全面リニューアルには相当な期間がかかる

稼働開始から約5年が経過した頃、Windows Server 2012のサポート期限終了を見据え、新システム再構築の検討が開始された。新システムは単なる更新ではなく、生産業務の更なる効率化や生産性向上のための仕組みの構築を狙っている。

そのためには、生産現場とIT担当が一体となって業務要件やシステム要件を作り上げなければならないが、生産管理担当もIT担当も限られた人員と時間の中で丁寧な検討を重ねて再構築を進める必要があった。しかし、2012のサポート期限終了という強制的な期限の制約は障壁となったため、先ずは、現行の生産管理システムの維持を最優先と決断した。システムを維持する際の課題は２つ、Windows Server 2012のハードウェアの老朽化と2012サポート終了後のセキュリティへの対策だった。

取引先の求めるセキュリティ基準を満たす

１つめのハードウェア老朽化対策では、物理環境から仮想化環境に移行する方法（P2V 注1）と、物理環境から物理環境に移行するファナティック ハード入替サービス（P2P 注2）が比較検討された。

P2Vでは仮想化環境上でのアプリケーションの動作保証が得られず、そのため移行前の検証作業に時間がかかることが問題となった。一方、P2Pによるファナティック ハード入替サービスは仮想化技術を用いないため、リスクを抑えながら検証工数も大幅に削減できることが評価された。

２つめのセキュリティ対策では、現行システムを使い続けるがゆえの大きな課題があった。取引先が求めるセキュリティ基準を2012サポート終了後も引き続き満たしていることが不可欠だった。

そこで導入したのがホワイトリスト型のセキュリティ対策ソフトウェアだった。安全性を確認したプログラムのみを実行し、それに該当しないプログラムの実行をブロックする機能を活かして、堅牢なセキュリティ対策が実現できた。また、一度ホワイトリストを作成すればプログラムの改変まではリストを更新する必要がないため、IT担当の大幅な運用負担軽減にもつながった。

次世代に向けた第一歩を踏み出す

移行作業は、生産業務への影響を最小限に抑えるため、現行システムを完全に停止できる限られた時間内で行う必要があった。失敗や作業の手戻りは許されないなか、担当者との事前の対話を通して詰めた計画により、無事完了。セキュリティ対策ソフトウェアもWindows Server 2012サポート終了までは試行運転を行い、サポート終了後に本稼働する予定である。

今回のハードウェア（サーバー）老朽化対策は現行システムの稼働安定化と新システム再構築への丁寧な検討に集中できるようになったことが大きいと担当者は話す。

老朽化したハードウェアが一度トラブルに見舞われれば、リカバリに追われるだけでなく、その後の予防のために担当者の日常的な運用負荷は増えてしまう。現行ハードウェアメーカーのサポートが年々限定的になっていけば、負荷増大に拍車がかかることは必至だった。

サトープレス工業の高品質なものづくりをさらに発展させるため、ファナティック ハード入替サービスの選択は、次世代のものづくりを支える社員とそれを担う新システムとの懸け橋として有効だと話している。