FANATIC REPORT ファナティックレポート

【技術情報・ベンチマーク】SupremeRAID構築方法とベンチマーク

2024.05.08 新技術


SupremeRAID™のご紹介

今回のファナティックレポートでは、NVMeSSD用のRAIDソリューション、GRAID Technology社のSupremeRAID™についてご紹介いたします。生成AIや自然言語処理などの分野で学習用にご要望いただくことが多い高速NVMeストレージ向けの有効なソリューションです。

従来のNVMe SSDのRAIDについて

●ハードウェアRAID
NVMeのハードウェアRAIDカードはPCI-Express 4.0 x8で接続する製品がほとんどです。理論的な帯域幅は約15.7GB/sとなります。 PCI-Express 4.0対応のNVMeSSDはリード性能が約7GB/sの製品がすでに存在しており、SSDを3本以上接続してしまうとハードウェアRAIDカードがボトルネックとなってしまいます。

●ソフトウェアRAID
ソフトウェアRAIDはRAIDのライトアクセスのパリティ計算をCPUで行います。NVMeSSDの性能を引き出すためには高価なCPUを選択する必要があります。また、オーバヘッドの問題により性能は10%以下と大幅に制限されます。

SupremeRAIDとは

SupremeRAIDはNVMe SSDのためにデザインされたRAIDソリューションです。
従来のNVMe RAIDソリューションのハードウェアRAIDのPCIeボトルネック、ソフトウェアRAIDのCPUボトルネックを解決する製品です。

SupremeRAIDの特徴

・ライトアクセスのパリティ計算はSupremeRAIDカード(GPU)によりAI演算処理。CPUのリソースをほぼ使いません。
・リードアクセスはSupremeRAIDカードを介さずCPU、NVMeSSD間で直接通信を行うことでRAIDカードのPCI-Eのボトルネックを回避することができ、最大110GB/s、19M IOPSという高いスループットを実現可能です。
・32本のNVMeSSDでRAID5,6を構築可能です。

SupremeRAIDの仕様

Supported RAID levels RAID 0, 1, 5, 6, 10
Recommended minimum drive number for each RAID level RAID 0:2ドライブ
RAID 1:2ドライブ
RAID 5:3ドライブ
RAID 6:4ドライブ
RAID 10:4ドライブ
Maximum number of physical drives 32
Maximum number of drive groups 4
Maximum number of virtual drives per drive group 4

対応OS

複数のLinuxディストリビューションに対応しております。

Linux Distro x86_64
CentOS 7.9, 8.3, 8.4, 8.5(Karnel 4.18)
RHEL 7.9, 8.3, 8.4, 8.5, 8.6(Karnel 4.18),9.0(Karnel 5.14)
Rocky Linux 8.5, 8.6(Kernel 4.18)
AlmaLinux 8.5, 8.6(Kernel 4.18)
Ubuntu 20,4(Karnel 5.4 and 5.15), 22.04(Kernel 5.15)
openSUSE Leap 20,4(Karnel 5.4 and 5.15), 22.04(Kernel 5.15)
SLES 15 SP2, 15 SP3(Karnel 5.3)

SupremeRAIDの構成

SupremeRAIDの構成は以下のとおりです。物理ディスクのNVMeにPhysical DRIVEを設定しDrive Group、VIRTUAL DRIVEを作成する構成となります。

RAID作成の流れ

SupremeRAIDを用いたRAID作成の流れを示します。

【1】ドライバの適用
SupremeRAIDではGRAID社の提供するドライバが必要となりますので、GRAID社からダウンロードして適用します。

 

【2】Physical DRIVEの作成
物理ディスクのNVMe にPhysical DRIVE の設定をします。
※画像をクリックすると拡大します。
Physical DRIVEの作成

 

【3】DRIVE Groupの作成
作成したPhysical DRIVEを使用して、DRIVE Groupを作成します。DRIVE Groupが作成された状態を以下に示します。
DRIVE Groupの作成

 

【4】VIRTUAL DRIVEの作成
DRIVE Groupの中にVIRTUAL DRIVEを作成します。VIRTUAL DRIVEが作成された状態です。
VIRTUAL DRIVEの作成

 

【5】パーティションなどの作成
VIRTUAL DRIVEが作成できたら、通常のディスクと同様にパーティションの作成、ファイルシステムの作成、マウント設定を実施します。

以上がSupermeRAIDを使用したRAIDの作成の作業の流れとなります。

管理コマンド

SupremeRAIDでは一般的なRAIDカードで使用される管理コマンドと同等なコマンドが用意されています。主なコマンドを以下に紹介します。

●確認のコマンド
sudo graidctl list nvme_drive [flags]
sudo graidctl list physical_drive [flag]

●削除
sudo graidctl delete physical_drive

●情報表示
sudo graidctl describe physical_drive

●オンライン/オフライン
sudo graidctl edit physical_drive marker

●ホットスペア設定
sudo graidctl edit physical_drive hotspare

ベンチマーク

当社で実施したベンチマークを公開します。

■検証構成

ケース x22 NVMe AMD EPYC™ 1CPU PCIeGen5サーバー 1pc
CPU AMD EPYC 9124 16コア ベースクロック3.0GHz 64MB L3キャッシュ 1pc
メモリー 32GB DDR5-4800 ECC REG DIMM 8pcs
SSD Micron 7450 PRO 1.92TB NVMe PCIeGen4 2.5インチ 22pcs
GRAID SupremeRAID SR-1010 1pc
RAID設定 GRAIDによるRAID5

 

R/Wのシーケンシャルアクセス時のデータです。単位はGB/sとなります。
※画像をクリックすると拡大します。
GRAIDベンチマーク グラフ1

 

R/Wのランダムアクセス時のデータです。単位はIOPSとなります。
※画像をクリックすると拡大します。
GRAIDベンチマーク グラフ2

 

GRAID社SupremeRAIDはRAID5でも高い性能を提供できることが確認できました。シーケンシャルリードで76.6GB/s、これまで問題となっていましたランダムライトのIOPS性能も545KIOPSと高い性能が出ています。
昨今、生成AI等の需要により高速なテンポラリストレージのご要望を多くいただいていますが、コストパフォーマンスの高い本製品は最適のソリューションと考えています。
引き続きベンチマークなど進めていますのでご期待ください。お問い合わせは下記よりお気軽にどうぞ。


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