FANATIC REPORT ファナティックレポート

「真空液体冷却システム」のご紹介

2023.10.25 新技術


「真空液体冷却システム」のご紹介

今回のファナティックレポートでは、当社が開発した新しい冷却技術である「真空液体冷却システム」のご紹介をします。

従来の冷却技術

●空冷
従来のコンピューター製品は、ベンチュレーション(通気や換気)による冷却である空冷方式が一般的でした。しかし、消費電力の大きなCPUやGPUの登場により、従来の空冷方式では冷却が困難になっています。

●水冷・ヒートパイプ
冷却効果を高めるため、CPUヒートシンクに水冷方式やヒートパイプ方式を用いる手段もありますが、最新の高消費電力のCPUやGPUを搭載するコンピューター製品には適合困難になっています。

●液浸冷却
スーパーコンピューターに用いられてきました不活性液に浸漬する冷却方式(液浸冷却)もありますが、設備が大規模で複雑となります。また、揮発性の高い冷却液の環境負荷と高いランニングコストが課題でありました。

「真空液体冷却システム」とは

ファナティックは、従来の課題を解決する「真空液体冷却システム」を開発しました。この「真空液体冷却システム」は、真空環境でCPUなどの発熱体を液体により直接冷却し、液体の熱をシステム両面の大型ヒートシンクで放熱させるもので、ファナティックが独自に開発したものです(特許出願済み)。
この新たな冷却技術である「真空液体冷却システム」は、従来の空冷・水冷・ヒートパイプによる冷却方式ではなく、気圧の低い真空環境を実現することにより冷却液の沸点を下げて冷却効果を高めることができるものです。ファナティックは基礎研究から着手し、3年以上の研究開発期間を経てようやくこの新しい「真空液体冷却システム」を開発することに成功しました。

 

 

●「真空液体冷却システム」の特長
・冷却ファンを使用しないため、消費電力が少ない
・冷却ファンを使用しないため、静か(騒音がない)
・配管や循環ポンプを使用しない(配管の破損による水漏れ・液漏れの心配がない
・従来の冷却方式よりも高効率に発熱体を冷却できる
・外部環境によるシステム内部部品の劣化がないため、ランニングコストを削減できる
・冷却用不活性液をシステム内部から漏らせないため、環境負荷がない

「真空液体冷却システム」の開発

不活性液を利用することで、CPUなどの発熱体を冷却する液浸冷却方式は以前から知られていましたが、当社の研究の結果、気圧を下げることで不活性液による冷却効果が向上することがわかりました。そこで、気圧を最大限まで下げ、真空状態にすることで、冷却性能をさらに向上させることに成功しました。しかし、この真空状態での不活性液による冷却(真空液体冷却システム)を実現するためには、装置筐体を密閉し、内部の液体も気体も外部に漏らさない技術が必要でした。試行錯誤を繰り返し、筐体を真空フランジ構造とし、ある樹脂の配合により実現したハーメチック(気密)コネクタを自社開発することでようやく「真空液体冷却システム」を実現することができました。

信頼性評価の結果

開発した「真空液体冷却システム」の信頼性評価試験を実施しました。厳しい環境条件の下で試験(以下に列記)を繰り返し、真空状態を維持して高い冷却性能を発揮し続けることを確認しました。

適応分野の例

・機器に搭載、内蔵するコンピューターの冷却
・高性能CPU、GPUの冷却
・移動ロボット、AGV、ドローンなどのバッテリー冷却
・産業用AIカメラの冷却
・屋外設置機器の冷却

利用目的の例

・腐食環境、粉塵、液体がかかる環境への機器設置
・クリーン環境に設置する機器のアウトガス対策
・土中や水中に埋没させるセンサーや計測機器の保護


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