CASE 導入事例

阿南工業高等専門学校様

日本初の「 数理・データサイエンス・ AI 教育プログラム」認定校
阿南高専が計算基盤を強化し、高度なAI教育を推進

NVIDIA GPUを活用してAI人材の育成と地元の発展に貢献

阿南工業高等専門学校は 2021年6月、「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム(リテラシーレベル) 」の認定を受けた。この認定制度は、内閣府、文部科学省、経済産業省が創設したもので、大学や高等専門学校が対象となる。阿南工業高等専門学校は、日本で最初に認定が行われた 11校のうちの1校である。

同校は、認定以前から全コースの1年生を対象とした情報リテラシー授業や情報コースなどの2 年生以上に対する機械学習やAIなどの授業を行っていたが、さらに高度なAI教育やAI研究を行うためには、学内の演算リソースが足りないという課題があった。

そこで阿南工業高等専門学校は、2023年3月にNVIDIA A100を4基搭載したGPU演算サーバー2台と32コアのXeonを2基搭載した並列演算サーバー3台を導入した。この規模での導入は高等専門学校としては非常に珍しい。GPU演算サーバーや並列演算サーバーは今後、学生へのAI教育やAIを活用した卒業研究、ロボットコンテストなどに利用される。

 

 

 

AIとものづくりの融合にも チャレンジしていきたい

阿南工業高等専門学校は、徳島県阿南市にある国立高等専門学校である。創立は1963年であり、60年以上の歴史を誇る高専として地域に根ざしている。現在は、学科は一つにまとめられたが(創造技術工学科)、2年生からは5コース(機械コース、電気コース、情報コース、建設コース、化学コース)に分かれ、専門的な教育を受けることになる。

2020年に内閣府、文部科学省、経済産業省が共同で大学や高等専門学校を対象にした「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度 (リテラシーレベル)」を創設した。本教育プログラムを通じて、学生は、数理・データサイエンス・AI技術の基本的知識を身につけ、その技術を活用することで、新たな技術や情報を取得・創出できるようになる能力を取得することが目標の一つとして掲げられている。

本プログラムは今後ニーズが高まると予測されている数理やデータサイエンス、AIに強い人材を育成するための日本政府の取り組みの一つである。阿南工業高等専門学校は、2021年6月に日本で大学・高専として初めてこの認定をクリアし、全校を挙げて数理・データサイエンス・AI教育により力を入れることになった。

 

 

チャレンジ

しかし、同校にはこれまでAI教育やAI研究などに必要な演算リソースが十分にあるとは言えなかった。情報コースの平山基准教授は、当時の状況を次のように語った。「パソコンを持っている学生がほとんどで、学生が自分のNVIDIA GPU搭載ノートPCを学校に持ち込んで、AI学習に使ったり、言語処理などはGoogle Colaboratoryを使ったりしていましたが、やはり学内に高性能な演算ノードが欲しいと思っていました。特に卒業研究では自分で大規模なモデルの学習をさせる場面が増えてきました」

そこで同校は、平山准教授を中心として、AI や機械学習、HPC などの演習に必要な演算ノードを導入するプロジェクトをスタートさせた。

 

 

ソリューション

設備の調達は公開入札で行われたが、平山准教授の要求仕様を満たすシステムを提案し、導入を担当することになったのが、NVIDIAパートナーネットワーク(NPN)の認定を受けている株式会社ファナティックである。ファナティックはAIや機械学習向けの製品提案や導入実績も豊富で、さらに同社は大学や企業の研究部門への製品納入実績も他社と比べても比較的多く、その経験値からも、今回阿南工業高等専門学校からの要求に的確に応えることができた。

同社は阿南工業高等専門学校に、NVIDIAの高性能GPU「NVIDIA A100」を4基搭載したGPU演算サーバー2台を提案した。NVIDIA A100 Tensorコアの提案やシステム導入について、平山准教授は次のように評価している。「ファナティックさんの提案は、こちらの希望をしっかりと満たしており、高く評価しています。また、NVIDIA A100 GPUの導入もスムーズに行われ、納期もしっかり守っていただけました。設置後もとても安定して動作しています」

 

 

2023年3月にNVIDIA A100 GPUの導入が完了し、その性能の高さには十分な手応えを感じているという。「GPU演算サーバーは、これまで使っていたものとは桁違いの性能ですので、卒業研究などでの利用が非常に楽しみです。もちろん、AI教育にももっと力を入れていき、授業でもGPUを活用していきたいと思っています。高専としては全国でもトップクラスの環境だと思いますので、高専が目指すべき一つのモデルケースになるのではないでしょうか。今後は NVIDIA A100目当てに本校に来る学生も出てくると嬉しいです」(平山准教授談)

 

リザルト

この度のNVIDIA GPUの導入により、AI教育やAI研究などに必要な演算リソースを確保でき、今後の学生の卒業論文やAI研究において大規模言語モデルの学習などに活用できるようになった。

それだけではない。阿南高専では2021年に認定を受けた「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム(リテラシーレベル)」のさらに上のレベルである応用基礎レベルを目指そうという動きもある。まずは、主に情報コースのカリキュラム整備を目指すが、いずれは全てのコースで応用基礎レベルのカリキュラムの実施を目指すことになるだろうと、平山准教授は語った。「他のコースの学生はプログラミングに習熟しているわけではありませんので、ローコードやノーコードでうまくディープラーニングのモデルを走らせられるようなものができてくるといいなと思っています。NVIDIAはそうしたAIの裾野を広げるツールも多数提供していると聞いています。」

阿南工業高等専門学校
創造技術工学科 情報コース 准教授
総合情報処理室 副室長
平山 基 氏

さらに、平山准教授は今度挑戦していきたいこととして、ものづくりとAIの融合を挙げている。「高専はもともとものづくりのための教育を行う学校という位置付けです。ですから、AIとものづくりを融合した授業を行いたいと思っています。例えば、NVIDIA Jetsonなどとの連携ですね。GPU演算サーバーで学習させたモデルをJetsonで動かして自動運転車や自律ロボットを作るなど、そういった授業で展開できるようなパッケージがあるといいですね。 NVIDIAはそういった分野でも数多くの実績があり、事例も多数の Webサイトで公開されています。校内に Jetsonはかなりありますので是非活用していきたいです。

「学校全体の方向性としては、地元の企業さんと学生がタッグを組んで、こちらが持っている資産を活用して社会の問題を解決するという方向に学生が向いてくれるようになるというのが一番重要だと思っています。 今回導入したGPU 演算サーバーはそのための土台として使ってもらえると良いと思っています。学生にとっても企業と協力して地元の問題を解決するというのは、非常に良い経験になると思います。」と平山准教授は話した。

阿南高専のこうした取り組みは、国 (文科省) も高く評価しており、2023年から始まった高度情報専門人材の確保に向けた「大学・高専機能強化支援事業」の対象校に選ばれた。全国に高専は57校あるが、今回支援事業の対象となった高専は5校のみだ。対象校には最大10億円程度まで、最長10年の支援が行われることになる。これを受けて阿南高専では、2025年度から現在の5コースに、AIを活用としたものづくりや高度な情報技術を学ぶことができる情報系プログラムを設置するとしており、今回導入した NVIDA GPUがフルに活用されることになるだろう。

 

 

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